お仏壇にお供えする生花?造花?
以前はお仏壇にお供えする仏花は必ず生花でなければいけないといった決まりが御座いました。それが今、様々な供養の形ができており、自由にお供えすることができています。
仏教用語で「諸行無常」という言葉があります。「しょぎょうむじょう」とはこの世のものは常に変化し続け永久のものはないという意味で、どんなに綺麗な花でもいつかは枯れてしまうという意味になります。その為、お仏壇やお墓には生花をお供えするのが一般的です。
生花の場合、毎日お水を変えて組みなおしてお供えするのは大変で、お気持ちはあるが難しいところがございます。しかしそのひと手間が、仏様やご先祖様に対する気持ちの表れになります。お花を選ぶところから始まり、花が枯れるまで見届ける、そのすべての行いに気持ちが表れているのです。
ですが、なかなか現代の生活スタイルではそうはいかないもので、プリザーブドフラワーや造花が出番となります。生花ではございませんが、仏花はお供え物として大変良い物であり、どんな形であれ喜ばしいものです。しかし、ご親戚や身内の方のなかには造花は・・・という方も少なくないと思います。その場合は、生花と造花を上手にお使いいただければと思います。
●プリザーブドフラワー
生花に特殊加工を施し、長期間鑑賞できるようにしたものです。水やりの必要がなく、生花のような美しさを兼ね備えています。日光や湿度に弱く大変デリケートなお花です。
●造花
ポリエステルやナイロンなどを使用し、型押しや色付けなどで作られています。生花と見間違うほど精巧に作られており、枯れる心配がありません。屋外のお墓や日光に長期間当たると色あせが起きやすいです。
●常花
蓮の花の形をした仏花になります。智慧や慈悲の象徴で最上の花とされます。お寺の本堂で使用される仏具でもあります。
便利なプリザーブドフラワーや造花でもデメリットはございます。
枯れないため、メンテナンスをおろそかにしてしまいますと、ホコリや汚れがそのままの状態になっていることが良くあります。また、紫外線により素材が劣化しやすいですが、それはお花の寿命ととらえていただければと思います。
※浄土真宗では仏花を通して「諸行無常」の教えを表しており、プリザーブドフラワーや造花は認められてなく、生花でのお供えが決まりとなります。
平家物語の有名な一節で、「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」とありますが、祇園精舎の鐘の音には、この世のすべての現象は絶えず変化していくものだという響きがあり、僧を極楽浄土へ導いたとされております。